エリート上司に翻弄されてます!
日高さんは私からお金が入った封筒を受け取った。
そして中身を確認することなく懐へと押し込む。
「先輩、日高さんのことあんまり気にしてませんでした。もしかして何か言いました?」
「……何も。ただもうアンタらには関わりたくないかな」
「へ?」
そう言うと日高さんは「これのコピー頼むよ」と資料の塊を私に押し付けて部屋を出て行ってしまった。
あぁ、どうして私は昨日の記憶が全然ないんだろう。
「(絶対昨日何かあったんだ……)」
乾先輩と日高さんの間で、何かしらあったに違いない。
あの2人は一緒に仕事することも多いのに何か申し訳ない。
なるようになるしかないのだろうか。
「(困った……)」
確実に日高さんを巻き込んでしまっている気がする。
彼に言われた通りコピーを取っていると色々と悩み込んでしまう。
いや、でも朝乾先輩とこれからは前通りに接しようって決めたし、もう気まずい雰囲気にはならないとは思う。
私もちゃんと心を入れ替えなきゃ、彼からこう言ってくれたんだから。
これが、私が1番望んでいたことなんだから。
そうは言っても……
「(いきなり何も無かった時のようにって……)」