エリート上司に翻弄されてます!
どんな感じだったっけ。
「綾瀬ー」
「っ!?」
背中に乗っかられてぐいっと体が前へと動かされた。
何だろう、この懐かしい感じは……
ゆっくりと後ろを振り返ると見慣れな顔なのにその雰囲気も懐かしく思えた。
「朝からお前は真面目だなぁ」
「い、乾先輩?」
「朝の日差しが俺を照らしているな」
「……」
会話のキャッチボールどころかもはやボールを扱っていないように思えてきた。
私は今まで通り「邪魔です!」と体を起こすと後ろから彼の体を退ける。
乾先輩はははっと爽やかに歯を見せて笑う。
「いきなり何なんですか!ウザい!」
「久しぶりに綾瀬の背中見たら乗っかりたい気持ちに駆られた。相変わらず魅力的な背中をしているな」
「う、嬉しくない……」
「もー、今日も朝から疲れる仕事ばっか。癒して」
「お仕事ですよ」
私がそう言えばショボンとしていた顔を上げて「そうそう」と笑った。
何だろう、会社でこうして乾先輩と話すの久しぶりに感じる。