エリート上司に翻弄されてます!




それに乾先輩から私に話しかけてくることだって……


「あれ、何かこのコンビ見るの久々」


水川先輩が資料を持って私たちのところへやってくる。
私は慌ててコピー機から資料を抜いた。


「相変わらずやってんな兄妹喧嘩」

「何ですかそれ。こんなナルシストな兄はごめんです」

「それ俺の弟に失礼だからね」


乾先輩の顔を見ると彼が安心した顔で微笑んでいるのが分かった。
そうか、彼も普通に話すことが出来て安心してるんだ。

朝、彼が自分から話してくれたように、元に戻ろうとしている。
今までは私が意識しちゃ駄目だと彼から近付くのをやめていたんだろう。

全て終わってから彼の優しさに気が付くなんて。
きっと元の上司と部下という関係に戻れるぐらい、私への気持ちが薄れたということなんだろう。

日高さんに言われた。
彼が戻ろうと努力してくれてるのに、私がいつまでも引きずっていたら駄目だと。

その通りだと思う。


「乾先輩」


だから、


「ん?」

「弟さんが可哀想ですよ」



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