エリート上司に翻弄されてます!
人の恋愛沙汰で楽しみを見出さないで欲しいのだけども。
私と小牧は食堂で乾ハーレムを眺めながら昼食を楽しんでいた。
あれから数日が経ったけど私たちの関係は何も変わらなかった。
ただ会社や家での会話が増えて、関係が修復していっていることは感じる。
「人事の乾さんファンとかも最近の乾さんのファンサービスに喜んでるよ」
「アイドルじゃないからね」
「いやー、だって……最近乾さんってある女の人と一緒にいることが多かったでしょ」
女の人?そう聞いて出てくるのは桐乃さんの姿だった。
桐乃さんの話って人事の方まで届いているんだ。
「ハーレムに構わなくなったのとその女の人と一緒にいた時期って重なってるから、皆乾さんに彼女が出来たんじゃないかってちょっとした騒ぎになっててね」
「え、」
「でも実際こう元に戻ってるわけだから安心したってこと。皆が言うには元カノだったんじゃないかって」
「も、」
元カノ!?、と思わず声に出して驚くと小牧が慌てたように口に人差し指を置いた。
私はそれを見てお箸を置いて自分の口を両手で押さえる。
元カノなんて初めて聞いた。
「で、実際ところどうなの?」
「知らないよ!高校の同級生ってことしか」
「でも結構仲良しそうなんだよね?全然アリじゃない?」
「……」
私はその言葉に乾先輩と桐乃さんが仲睦まじくしていたあの夜のことを思い出した。
そしてその次の日の朝、彼からあんなことを言われたことにも思い出した。
もしかしてあの夜に何かあったから私との関係に区切りを付けたのかな。
じゃあ、今乾先輩が好きなのって……
「深桜?」
「っ……」
小牧の言葉に我に返ると私は頭を横に振った。
もう乾先輩と桐乃さんのことで思い詰めないって決めたのに。
全然駄目じゃないか、私。