エリート上司に翻弄されてます!
「今日、何か皆バタバタしてるよね」
「ですね」
宮根さんの言葉に顔を上げて部署を見回すと確かにいつもよりも人の出入りが多い気がする。
乾先輩も課長もなんだか忙しそう。
彼女は「まぁ、いつもがゆるゆるしてるからな」と文句を漏らしつつ缶コーヒーを口に付けた。
私はパソコンの画面を見ながら手の中の数値を見合わせる。
そしてそのパソコンの画面の端に付いていた付箋を手に取ると終わったことだとゴミ箱に入れた。
すると日高さんが部署に入ってくると自分のデスクへと腰をかけた。
「あれ、日高さんは今日何もないんですか?」
「何もないことないけど。今日は乾さんが1人で色々するみたいだから」
「(もしかして)」
この前夜遅くまで作っていた資料を使う会議とかがあるのかもしれない。
凄く慎重そうだったし、彼にとったら大変な1日なのかも。
別にサボってるわけじゃないから、と彼は何故か私を睨む。
私は何も言ってないんだけどな。
そう思っていると乾先輩がいつもよりもかっちりとしたスーツに身を包んで中へ入ってきた。
「わー、乾さん格好いいじゃないですかー」
「ふ、俺は何を着ても似合うからな。なんだって着こなせてみせる」