エリート上司に翻弄されてます!





しかし受付嬢の方の表情は硬いままで、なかなか交渉はうまくいかない。
私が困り果てていると後ろから受付のテーブルに手が伸びてきた。


「次の会議は何時からですか」


乾先輩がそう問い質すと彼女の頬が赤く染まる。
美形な彼に声を掛けられて照れているのだろうか。

一気に展開が好転するのを感じた。


「そ、そうですね……あと10分で今の会議が終わる予定で……次はその30分後になる予定です」

「じゃあその30分貰いますね」

「え、でも……」

「大丈夫です、こちらから直接伺います」


教えてくださってありがとうございました、と乾先輩はトドメのスマイルを繰り出した。
この笑顔を向けられて落ちない女性はいないのではないのか。

アースデイのオフィス内を歩きながら「さっきの何ですか」と、


「んー、自分の武器を有効利用しただけだ」

「……もしかして女社員の人とかをいつもああやって説得させてるとか」

「何のことだかー」

「……」


思っていたよりもこの人怖いかもしれない。
やっぱりこの人の顔だけに騙されるのだけは嫌だと思った。

もしかしたらあのハーレムも彼が全て仕掛けていたことかもしれない。





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