エリート上司に翻弄されてます!




その言葉に私たちは顔を見合わせる。


「ありがとうございます!助かります!」


良かった、取り敢えずこちらの話は聞いてもらえそうだ。


「少しここで待っていてくれ。直ぐに召集する」

「はい、ありがとうございます」


呆然としていると彼が私の肩を掴んだ。


「綾瀬ナイス!イケるぞ!」

「は、はい!」


良かったです、と泣きそうになると彼は可笑しいように私の頭をくしゃくしゃに撫でた。
安心したら肩の力が抜けた。ついでに腰も抜けそうになる。

会社に入って初めてここまで必死になった。
このチャンスを絶対に無駄にすることはできない。

打ち合わせが始まるまで乾先輩は再び内容の確認を始めた。
その姿を見つめながら一瞬は安心出来たが再び不安が立ち込める。


「あの、本当に10分で大丈夫なんでしょうか……」

「大丈夫だって、俺の話術を信じろよ」

「……」


暫くすると先ほどの男性が他の社員さんを連れて戻ってきて、「始めようか」と私たちに声を掛けた。
乾先輩は立ち上がると会議室の方はと向かっていく。




< 213 / 343 >

この作品をシェア

pagetop