エリート上司に翻弄されてます!
乾先輩はその言葉にぎこちなく頷いた。
「そうだな、他に空いてる席もないみたいだし」
「……」
な、何をそこまで意識しているんだろうか。
私は何とか顔が赤くなりそうなのを我慢して彼が隣に座るのを促した。
すると、
「乾さーん!こっちの席空いてますよ!」
後ろの方からそんな声が上がり、振り返ってみると1番後ろの5列シートの真ん中が空いており、その両サイドに乾ハーレムの女性たちが座っていた。
今回は合同だから乾先輩のファンの女性も一緒に旅行に行くことになっている。
彼はそれを見ると「あー」と気まずそうに声を漏らした。
「あ、良かったですね!空いてるみたいですよ!」
「……」
「……先輩?」
「……いや」
そうだな、と言うと彼は私の席を通り過ぎ、バスの後方座席へと移動した。
そんな彼の姿を目で追いながら自然と溜息を吐いていた。
ハッ、何を私残念がってるんだろう。
私は乾先輩の隣の席に座りたかったの!?
やっぱりこの間から可笑しい。
何だこれ!、と頭を抱えていると私の隣の席にドサっと音を立てて誰かが座った。
隣を見るとそこに座ったしかめっ面な彼を見て驚いた。