エリート上司に翻弄されてます!
そう吐露した日高さんは私から受け取った飴を口へと含んだ。
「あの人って」
「今後ろで王様ゲームしてる人」
え、嘘。
腰を上げて後ろを振り返ってみると確かに乾先輩を囲むハーレムでも只今王様ゲーム大会が行われているようだ。
あそこだけまるで合コンのように見える。
私は若干引きながらシートへと戻ると「全然人違いますよね」と気持ちを零した。
「でもあの人、仕事の時だけはやるよね」
「そうなん、ですか?」
「そうなんですかって、アンタが1番知ってんじゃん」
アンタがアポ取り間違った時、と言われて私はあの時のことを思い出した。
乾先輩はあの無理やり勝ち取った10分という時間で相手方を納得させるほどのプレゼンをした。
でもあれはやっぱりまぐれじゃないと思う。
きっと乾先輩の才能なんだ。
無意識にあの人のペースに持ち込まれる。
「乾さんといると勉強になる。それだけでこっちに来てよかったと思う」
「……」
「……このこと、本人に言わないでよ」
ギロリと視線がこちらに向いて私は必死に首を縦に振った。
この人、本当に素直じゃないな。このことを乾先輩に言ったら絶対から喜ぶのに。
そんな天邪鬼な日高さんに笑うと、