エリート上司に翻弄されてます!
「な、何でそんな嘘……」
「吃驚したら涙止まるでしょ」
「そんなので止まるわけっ……」
そこまで言いかけて私は頬に触れた。
「あ、あれ?止まってる」
あんだけ泣いてたのに急に涙が引っ込んでしまった。
驚いている私に日高さんははぁと深く息を吐くと腰を上げた。
「そういうことだから。アンタが泣いてるのウザかっただけ」
「ウザ!?」
「俺がアンタのこと好きとかないから。肝に銘じておけ」
「っ……」
そうして私のことを睨みつけると日高さんはその場を去って行ってしまった。
吃驚した。でもそうだよね、日高さんが私のこと好きとか信じられないし。
それにしてもちょっといつもと雰囲気変わってたな。
「忘れろ、か……」
彼に言われた言葉を繰り返す。
確かに長引けば長引くほどきっとこの思いは私から離れなくなる。
そうなる前に手放さなきゃいけないんだ。
折角気が付けたのにという喪失感と苦しさから解放される安心感。
私の中でどっちが大きいんだろう。