エリート上司に翻弄されてます!
「絶対そうだと思った……」
「え?」
私が聞き返すと小牧はさらに声を大きくして言った。
「絶対乾さんのこと好きだと思った!」
「ちょ、声大きいって!」
会社じゃないとはいえ、一応公衆の前だ。
私は慌てて小牧の口を塞ぐと腰を下ろした。
あの社員旅行の後の休日、私はカフェに小牧のことを呼び出していた。
「何で今更気が付くの!?遅いでしょ!」
「そ、それは私も思う……」
「はぁー、あの時もっと念押せばよかったなぁ。そしたら上手くいってたのに」
「あの時って?」
アイスティーを口に含むと彼女は視線を厳しくした。
「乾さんに告白されてから数週間ぐらい?深桜ずっとぐるぐるしてた時期あったじゃん?あそこらへんで絶対好きだなって思ってたの」
「え、嘘」
「なのに頑なに好きじゃないーっとか意地張るから!」
「うっ……」
別に私説教されるために小牧を呼んだんじゃないんだけどな。
しゅんと肩を落としていると彼女がテーブルにグラスを置いた。