エリート上司に翻弄されてます!
何でそんな勘違いしてんの?、と問われた私はもう頭が混乱して何を答えたらいいか分からなくなった。
ずっと付き合っていると勘違いしていた2人が付き合っていなかった。
じゃあ、私があの家を出て行った意味って。
「深桜ちゃん、俺のことで何か色々勘違いしてない?」
「……」
私は指を口元へと持っていく。
明らかに乾先輩の声は怒っていた。
「俺がそんなに気持ちを直ぐに入れ替える軽い男って思ってるんだ?」
「っ……だって先輩、私に日高さんと付き合って」
「俺が桐乃と付き合うのと、深桜ちゃんが日高と付き合うのは全然意味が違うだろ」
「っ……」
「深桜ちゃんが誰を好きになるかは自由だよ。だけど俺の気持ちはずっと前から伝えてるよね?」
それってつまり……
つまりまだ乾先輩は私のことが……
「でも、あんなに日高さんのことを勧めて」
「っ……」
私がそこまで言うと耳元でかなり大きな音が鳴って。
彼が私の隣の壁を思いっきり殴ったのだ。
「俺が本当にそう思ってる訳ないだろ!?」