エリート上司に翻弄されてます!
「やったー、また一緒に暮らせるね!嬉しい!」
「っ……だ、だからそんな気は無いんですけど」
「もう深桜ちゃんが家出て行ってから寂しくて寂しくて死んじゃいそうだった。もう深桜ちゃんがいないと俺駄目になりそう」
「そ、そんなこと言わないでください」
「本当だよ?」
そう言った彼の瞳には全く曇り1つも無く、それはそれで怖かった。
どうしよう、同棲の方に話が進んでしまっているけどこれでいいのかな。
いや!そんなはずはない!
今まではただの同居だったけど恋人同士になった今それは同棲になる。
恋人同士の男女が1つ屋根の下って私の心臓が耐えられるわけがない。
それにまだ付き合ったばかりだし、いきなり同棲だと言われても……
「深桜ちゃん、駄目?」
「っ……」
言われても……
「……い、いいですよ」
私がそう観念したように声に出すと彼は先ほどの力とは比べ物にならない強さで私のことを再び腕の中に閉じ込める。
な、なんか私……ちょっと早まってしまった感じを否めないのだけども。
「おかえり、深桜ちゃん」
「……」
まぁでも、乾先輩が嬉しそうだったらそれでいいかなぁ、なんて。
私は色々なことを諦めるとそんな彼の背中に腕を回した。
迷子の迷子の恋心、それでもやっぱり貴方に向かっていた。