エリート上司に翻弄されてます!
わんわん日和。




翌日、朝ごはんの支度を終えると私は寝室へと向かう。
自分のエプロンは家にあるからと彼のものを使っていたが全然サイズが合わなくて意味が無かったが取り合えず最後まで使っていたので外していく。

起きてるはずないよね、と思いつつ1回は扉をノック。
結局返事がなかったため、私はドアを開けて中へと入った。

ベッドの上に出来ている膨らみに近付くとその側に腰を降ろした。


「先輩、朝ですよ」


少しだけ布団を下げると彼の寝顔が窺える。
まるで少年のような幼いその顔は彼がいつも言っているよりも美しいとは思う。

そう、この男は黙ってればいいのだ。


「起きて、会社遅刻しますよ」


ねぇ、と私は彼の肩へと手を飛ばそうとした。
するとその瞬間、布団の中から何かが伸びてきて私の腕と肩を掴んだ。

そしてそのまま布団の中へと引きずり込まれる。


「ちょっ……」


気が付けば私の体はベットの上にあって、そしてみるみるうちに目の前の男の体に侵食されるように抱きしめられる。
身動きが取れなくなったところで顔を上げるとスリスリと頭を擦り付けられた。


「深桜ちゃんおはよー」


やっぱり起きていたのか。しかしこの体勢はいかなるものか。
目の前の男は未だ「深桜ちゃーん」と甘い声を出している。




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