エリート上司に翻弄されてます!
「深桜ちゃんの朝御飯ひさびさー」
そう言って箸を進める乾先輩に私はなんだかくすぐったい気持ちになった。
結局乾先輩の口車に乗せられて一緒に暮らすことになったけど、本当にこれで良かったのかな。
あんまり初めの頃の同居と変わっていない気がするけど……
乾先輩といると何だか調子が狂うなぁ。
これからまた荷物を運んだりしなきゃいけないんだよね、大変だ。
でも、
「おいしーね深桜ちゃん」
「……」
この人の笑顔見られるならそれでいいかなぁ。
朝食に使った食器を片付けていると廊下の方から「深桜ちゃん深桜ちゃんー」と慌ただしい足音とともに声が聞こえてきた。
そして後ろからスーツに身を包んだ乾先輩によって抱き締められる。
「ネクタイ付けて?」
「幼稚園児か!」
「お願い」
「……」
甘えすぎる乾先輩も乾先輩だと思うけど、そんな彼に甘い私も私なのかもしれない。
私は自分の手に付いた水を拭き取ると彼と向かい合ってネクタイを手を取る。
そして彼の首に掛けると少しだけ距離が近いた。