エリート上司に翻弄されてます!
しかしそんな彼が「この美しい上に優しい俺がお前らのために岡山の土産を持ってきたぞ」と言うとそのようなことを口々に言っていた社員が彼の周りに集まってくる。
なんて現金な人たちがいる職場なんだろう。
「きびだんご?」
「岡山って桃太郎で有名なの?」
「ていうかもう既に1個ないんだけど。乾さん自分で食べたの?」
「そ、そんなわけないだろう!」
あ、それ私だ。昨日乾先輩の家に寄った時に彼がお土産って言って食べさせてくれたんだった。
普通に会社で貰う方が自然だったのに、忘れてた。
乾先輩の周りに人が群がるのを見つめていると何処からか日高さんが戻ってきた。
私は立ち上がるとそんな彼の元へと向かう。
そして、
「日高さん!」
そう声を掛けると彼の視線が私へと注がれた。
「おはようございます」
「……おはよ」
「あ、えっと……」
「……」
何か、改めて言うのちょっと恥ずかしいかも。
「上手くいったの?」