エリート上司に翻弄されてます!
彼の元気の良い返事に溜息を落とすと彼が私の両手を掴んだ。
そして「深桜ちゃん大好き」と呟くと下から掬うように私に口付けた。
ちゅっちゅっと数回唇がぶつかるとことを理解して私は顔を赤くする。
この人、本当に色々甘すぎないか?
「こ、ここ会社ですよ!?」
「でも2人っきりだよね?」
「会社はこんなことしていいところじゃありませんから!」
「ごめんごめん、もうしないって」
怒ってる深桜ちゃんが可愛かったんだよ、と彼は楽しそうに私の頭を撫でた。
彼は凄く余裕があるみたいだけど私はもうここで卒倒しそうなくらい限界だ。
これでまだお付き合い1日目なんだから凄い。
私もうついていけない気がする。
「そう言えば日高さんと何の話してたんですか?」
「んー、じゃあ戻ろっか」
「え、何で今誤魔化したんですか?」
「誤魔化してないよ?早く仕事戻らないと2人でいやらしいことしてるって勘違いされちゃうけど」
「戻りましょう!」
そんなこと断じてしていない!
ていうかいやらしいことって一体何なんだ!
私はデレデレと表情筋を緩ませる乾先輩を引っ張ると資料室から出る。
さっきの日高さんと殺伐としていた彼とは大違いだ。
多分彼のこんな甘えたな部分を見られるのは私だけなんだろうな。
そう思うときゅーっと胸が苦しくなるのが分かった。