エリート上司に翻弄されてます!
私が乾先輩のこと好きになることは無いだろう。
私がしたい恋愛はもっとこう、ピュアな感じで、それでいて包容力があるような男性じゃないと駄目だ。
乾先輩の近くにいたら疲れてしまう。
「せ、先輩はあれです、あれ。お兄ちゃん?みたいな?」
「は?お兄ちゃん?」
焦って思わず小牧に言われていたことを言ってしまった。
しかし彼氏と言われた手前、兄という言葉の方がしっくりと来てしまう。
「も、勿論本気じゃ無いですけど。こんなナルシストな兄なんていりませんし」
「……」
全く反応が無くなってしまった乾先輩。
様子を見かねた私が「せ、先輩?」と話し掛けると急に笑い出したから驚いた。
「あははっ、お兄ちゃんね!兄妹かー。なるほど、あはは!」
「せ、先輩?」
「はー……」
乾先輩は1度落ち着くと、
「店長、餃子2人前ー!」
「えっ、何頼んでるんですか!?太っちゃうんですけど!」
「あはは、太れ太れー」
「ちょっと!?」
壊れたように笑う先輩はそれはそれは怖かった。
数分後にやってきた餃子も美味しくて太ると分かっていてもお箸が止まることはなかった。