エリート上司に翻弄されてます!



勿論付き合ってはない。私があの乾先輩とそんな関係になるはずがない。
これには海よりも深い訳があり、話し出すと長くなるのだが誤解を解く為にも聞いて欲しい。

あれはその3ヶ月前に遡る。
私は仕事から帰るといつものように自分のマンションへと戻った。

独り暮らしのために帰っても部屋は真っ暗だ。これで恋人でもいればまだ心に余裕があるのだがここ2年はそんな存在も見つかっていない。
日課のようにお風呂のスイッチを入れて洗濯物を取り込もうと玄関で靴を脱ぐと部屋に上がった。

その瞬間、足元がべちょっと濡れた。

何!?、と驚いたが暗闇のために何故地面が濡れているのかは分からなかった。
私は靴下が浸水していくのを感じながらも何とか電気のスイッチまでたどり着くとそのスイッチを入れた。

そして明るくなった部屋の惨状を見て驚愕する。


「な、何これ!?」


床一面水浸しなのだ。何故こんなことになっているのか。
混乱しながらもその原因を突き詰めようとする私は取り敢えず水場であるお風呂に向かおうとした。

床に引いていたカーペットが沈んでいるのを見て悲しくなった。
ワンルームだからベッドのところまでビチョビチョだ。

漸く風呂場にたどり着くと私はその原因を突き止めた。
なんと風呂場の天井が剥がれ落ち、そこから水が滴り落ちているのだ。

排水管の繋ぎ目の部分から水が漏れているのが見て分かる。
きっと劣化が原因で水漏れが起こってしまい、その為天井が剥がれ落ちてしまったのだろう。

思わず卒倒しそうになった。



< 6 / 343 >

この作品をシェア

pagetop