エリート上司に翻弄されてます!



「うーん、これは工事が必要だね……」


マンションの管理人に連絡してこの状態を見に来てもらった。
私よりも何十歳も年上の彼は顎を摩りながら天井を見つめるとそう言った。


「こ、工事ですか」

「もしかしたら他の部屋でも同じような事が起こるかもしれないし、排水管全部を交換かなぁ」

「あ、あの……それってどれくらい掛かりますか?」

「そうだねぇ、1週間は掛かるんじゃないかなぁ」

「い、1週間!?」


ということは1週間はここから出ていかないと駄目ってことか。
私がそう声を挙げると管理人さんは「どっちみちこの状態じゃ今日は無理でしょ」と言った。

確かにこのびちょびちょの部屋で一晩過ごすわけにもいかない。


「修理会社に連絡してあげるから今日は何処か泊まっておいで」

「……」


私はその言葉に頷くと荷物を詰めると自分の部屋を飛び出した。


飛び出したはいいが、


「どこに行けばいいんだろう……」


一応駅までは来たのだがやはりホテルしかない。
友人に連絡しようかと思ったが何故か繋がらなくてメッセージだけ送ることになってしまった。


「(取り敢えず今日はビジネスホテルに泊まるしか……)」


明日からは何とかして友人に言って泊まらせてもらおう。
私はスマホを取り出すと近くにあるホテルを検索しようとする。

と、


「あれ、お姉ちゃん泊まるところ探してる?」

「えっ……」


急に誰かに肩を持たれたかと思ったら見たことがないおじさんが立っていた。
顔が赤くて目が虚ろなところを見ると多少酔っているらしい。

え、えーっと……



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