エリート上司に翻弄されてます!
愛犬の気持ち?
「ひ、日高さんがどうしてここに……」
ドアを開けたらそこにいたのは乾先輩じゃなくて日高さんがいた。
彼も不思議そうな顔をしていたが、徐々に普段通りの固い顔に戻っていく。
「それは俺のセリフだ。何でアンタが乾さんの家に」
「っ……」
「ここは乾さんの家だって聞いて来たんだけど」
どういう事?、と強く尋ねられて私は思わず黙り込んでしまう。
どうしよう、日高さんに私と乾先輩が一緒に住んでることほぼバレてしまった。
あれ程いつも玄関に出るときは相手の顔を確認しろって言われていたのに私の馬鹿。
何かいい返しはないのだろうか。
そろりと視線を日高さんの方に戻したが睨むような目つきと目が合って「はう!」と息を漏らす。
蛇に睨まれた蛙とはこのことを言うのだ。
もう言い逃れは出来ない。
「あの、中の方でお話しますので」
「……」
とにかくここでは何も教えられないと踏んだ私は彼を部屋へと招くことになった。
「ゆ、ゆっくりしてください。私の家じゃないんですけど……」
日高さんをソファーへと座らせると私は彼にお茶を出す準備を始める。
その傍ら、部屋にまで招き込んで私は一体何を話そうとしているのかを考える。
日高さんには乾先輩と出掛けていたところも見られてしまっているし、今回こそあらぬ誤解を招いてしまっているに違いないだろう。