エリート上司に翻弄されてます!
「さ、探してはいますけど見つかりましたんで!大丈夫です!」
「えー、そうなの?一緒に俺の家で飲もうよ」
「ほんっとに大丈夫なんで!」
こんな時に泥酔おじさんに絡まれるなんて今日は運が悪すぎる。
丁重にお断りしようとすると肩に回っていた手が下がり腰に回された。
「5万でどう?」
「っ……」
耳元で囁かれたセリフにゾゾゾッと背筋が凍った。
もしかしてこの人本気でこんなこと言ってる!?だったら今の状況って結構危ないのかもしれない。
私は「あ、いや、あの」と怯えるように言葉を吐いて彼から逃げようとする。
するとその時スマホを持っていた手が誰かに引っ張られてこのおじさんの魔の手から逃れることが出来た。
「すみません、これ俺の彼女なんで手出さないで貰えますか?」
耳元で聴き慣れた声がした。目の前の人に抱きしめられながら「まさか」と思考を巡らす。
おじさんはそんな私たちに呆れると「けっ」とフラフラとその場を離れていった。
私が顔を上げるとそこにいた人物を見て声を挙げた。
「せ、先輩!?」
「こんな時間に何やってんの?女の子が危ないでしょ」
乾先輩は何故か怒っているようで口元を膨らませていた。
「先輩こそどうして」
「今仕事終わって帰ってきたところ。そしたら後輩がおじさんに絡まれてるんだもん」
驚いたよ、と乾先輩。