エリート上司に翻弄されてます!
「で、綾瀬はこんな時間に何してんの?結構早めに会社出なかった?」
「……そうなんですけど」
こんなの人に話してどうにかなる話じゃないなと思っていたが助けてもらったこともあり、例の話を素直に話すことにした。
排水管が壊れて水漏れになった話、そのせいで部屋がびしょ濡れになったこと、今泊まるところを探しているということ云々、ここまでの経緯を全て話した。
「取り敢えず今はホテル探してるんですけどあんまりお金もなくて……そんな高いところ泊まれないので」
「……」
乾先輩は仕事で疲れているというのに私の話を真剣な顔で聞いてくれた。
普段はああだけどやっぱりこういうときは優しいんだよなと一瞬でも彼の見方が変わるがそれでもいつもの言動を思い出して元に戻った。
彼は「なるほどね」と、
「それは災難だったな。そんな時に俺に出会えるなんて、綾瀬は最高にツイている!」
「部屋水漏れするわおじさんに絡まれるわで全くツイてる気はしないですけどね」
「そんなお前にこの優しくそして美しい俺が泊まるところを紹介してやろう」
「え!?本当ですか!?」
それはとても助かる。私は乾先輩のことを久々に輝いた目で見つめた。
すると彼は意気揚々と話し出した。
「風呂トイレ別」
「おお」
「家具も付いている、テレビもデカい」
「おおお」
「しかも低賃金、むしろタダだ」
「えっ……」
「なにより駅から徒歩3分だ!」
「……」
私は「まさか?」と感じながらも一応最後まで聞いてみた。
「何処ですか、それ」
「ん?俺の家」
……俺の家?