そこには、君が
「明香は絶対青だよ!」
「そう?」
12月25日クリスマス。
行きつけの美容院で、
凛と2人、髪をセットしてもらい中。
徹平さんの行く大学のパーティに出席
させてもらうための、おめかし。
髪につける飾りを何色にするか、
どうも決まらない。
「ありがとうございました!」
美容院を出ると、
外はやっぱり寒い。
漏れる息がすぐさま白く染まる。
街のあちこちから、
クリスマスソングが聞こえてくる。
そんな賑わった街の中を、
ドレスアップした私たちが通る。
「お腹空いたね」
「ペコペコだよ。何があるのかなぁ」
チュールレースのホワイトノースリーブに、
赤いラッフルスカートの凜。
ワイドパンツが特徴の、
スカイブルーのオールインワンドレスな私。
「変じゃないかな?」
「不安だよね、まじで」
大通りを歩きながら、
周りから視線が集まる。
そりゃそうだよね。
街中をこんなドレスで歩いてたら。
「あ、大学じゃない?」
凛の掛け声で顔を上げると、
そこには一角だけ都会と
勘違いするような建物が
たくさんある。
「ねえ、明香…」
「分かる。多分同じ気持ち…」
私たちの横を通り過ぎる、
大学生であろう女子たちが。
言葉を失わせるくらい、
綺麗な人たちばかり。
大人っぽさが際立つドレスや、
甘さを全体に出した可愛いドレス。
どれも到底私たちが敵いそうな、
人たちじゃない。
「明香ちゃん!」
もう帰りたい。
そう思って後ずさりした私たちを、
何も知らずに声をかける徹平さんが、
向こうの方にいるのが見えた。
「遅いから心配した」
「ごめんなさい。近くには来てたんだけど」
行こ。
徹平さんたちのエスコートで、
大学の門をくぐる。
どうしよう。
変にドキドキしてる。