そこには、君が







「お待たせしました!」




年明け。


新年、1月下旬。


片手に旅行バッグを持ち、


私は駅に到着。


目の前には、きっと


長い時間私を待っていた


徹平さんが、鼻を赤くしている。






「いや、待ってないよ」





「嘘。鼻赤いですよ」





気のせいだと流され、


切符を渡された。


今日は、なんと私の誕生日。






「起きれた?今日」





「はい…一応」





「昨日、長電話しすぎてごめんね」






日が変わる1時間前。


急に電話が震え、


手に取ってみると、


徹平さんの名前が表示されていて。


じゃあ、おやすみ、と。


誕生日おめでとう、と。


日が変わるまで話してくれた、


彼のおかげで、今日の朝は


少し寝過ごしてしまったのは


ここだけの話。







「行こっか」





「はい!」






誕生日に合わせて、


少し離れた場所に宿を取り、


祝うためにプランを考えてくれたらしく。


私は計画してもらったものに、


便乗させてもらう。


今、もうまさに幸せの絶頂だった。







「すっごい…何ここ、」







お昼過ぎに到着した私たち。


ここだと案内してもらった旅館は、


どこから見ても高級そうな佇まいで、


見る人が皆絶句するほどの装い。


玄関では仲居さんたちがお出迎えを


してくれていて、なんとも歓迎されて


いるようで嬉しくなった。











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