そこには、君が
「放課後、職員室に来い。分かったな!」
先生はそう言って、
背中を向けて去って行く。
そんな先生を後ろで見ながら、
「誰が行くか」と呟く大和。
「何してんの、大和」
「関係ねぇ」
「そうじゃなくて。なんで来なかったの学校」
ねぇ、と。
制服の裾を、
ちょんとつまむ。
それを大和は。
「触んな」
拒絶した。
こんなの、
初めてだった。
「大和くん、大丈夫?」
「先生、ひどいよね…」
「向こう、行こ?」
離れた私を見て、
チャンスとばかりに
寄ってくるさっきの群れ。
大和は私を、
直視しなかった。
「明香!」
「京、也…」
京也が走って来るのが見える。
それ以降は、なぜか視界が曇る。
涙は出ない。
だけど、真っ暗になった気がする。
「大丈夫だよ、明香」
「うん、平気」
京也は人目を気にすることなく、
私の頭を優しく触れた。
そういえば京也にだって、
久しぶりに会った気がする。
懐かしい。
そんな感じだった。
「大和、なんで…」
「とりあえず休み時間終わるから」
京也は私の席まで連れて行き、
寝るなよと言いながら、
少し困ったように笑って、
教室を去って行った。
座りながら私は、
ただただ孤独に耐えた。
本当は、孤独なんかじゃない。
でも大和に拒絶された、
あの一瞬が、私を独りにさせた。