そこには、君が
そしてその日から。
大和は学校に来ていて。
だけど常に周りには女の子。
放課後には、校門に、
他校の女子が出待ち状態。
「永森くん、変わったね〜」
「というか、頭がおかしい」
放課後、教室で凛と二人、
大和のことを考える。
変わったよりも、
頭がおかしくなったという方が、
しっくりくる気がする。
だって、いつもの大和じゃない。
「明香、電話鳴ってる」
「あ、本当だ……、え、なんで」
画面に出た名前は、
噂の張本人のママ。
「もしもし?」
『あ〜明香ちゃん?今日暇でしょ?』
暇でしょ、なんて。
なんで決めつけてんの。
「暇…っちゃ暇だけど。どうしたの?」
『今日の晩ご飯、置いて来たんだけどね。あのバカ、連絡つかないの』
女の勘。
私の勘。
外れたことがない。
『だから悪いんだけど、冷蔵庫の中のもの、出してやってくれない?』
ほーらー、きた。
絶対言うと思った。
「いいけど。みんないないの?」
『なんかみんな用事あるんだって。本当ごめんね、明香ちゃん!ご飯食べてって!じゃっ!』
プツン。
無機質の通知音。
大和のママは、大和そっくり。
いつだって突然で、勝手。
「まじか…」
事情を話すと、
凛は同情するように私を見る。
仕方ない。
これが幼馴染の定めとやら。
否が応でも、
従うしかないんだ。
「起きてるのかな…」
ブツブツ言いながら階段を上る。
なんで私が行かなきゃいけないの。
自分でしたらいいのに。
そう思いながら、
一応インターホンを鳴らす。
このパターンで、
出てきたことは一度もない。
ちょっとは、来客に興味を持て。
なんて思いながら、
ドアを開けようとした時。
「どちら様ですか〜?」
なんて言いながら、
中から人が出てきた。
私と同じ制服を着た、
見かけたことがある女の子。