そこには、君が





そしてその日から。


大和は学校に来ていて。


だけど常に周りには女の子。


放課後には、校門に、


他校の女子が出待ち状態。







「永森くん、変わったね〜」






「というか、頭がおかしい」







放課後、教室で凛と二人、


大和のことを考える。


変わったよりも、


頭がおかしくなったという方が、


しっくりくる気がする。


だって、いつもの大和じゃない。






「明香、電話鳴ってる」






「あ、本当だ……、え、なんで」







画面に出た名前は、


噂の張本人のママ。







「もしもし?」





『あ〜明香ちゃん?今日暇でしょ?』






暇でしょ、なんて。


なんで決めつけてんの。







「暇…っちゃ暇だけど。どうしたの?」






『今日の晩ご飯、置いて来たんだけどね。あのバカ、連絡つかないの』






女の勘。


私の勘。


外れたことがない。








『だから悪いんだけど、冷蔵庫の中のもの、出してやってくれない?』





ほーらー、きた。


絶対言うと思った。






「いいけど。みんないないの?」






『なんかみんな用事あるんだって。本当ごめんね、明香ちゃん!ご飯食べてって!じゃっ!』







プツン。


無機質の通知音。


大和のママは、大和そっくり。


いつだって突然で、勝手。







「まじか…」






事情を話すと、


凛は同情するように私を見る。


仕方ない。


これが幼馴染の定めとやら。


否が応でも、


従うしかないんだ。








「起きてるのかな…」






ブツブツ言いながら階段を上る。


なんで私が行かなきゃいけないの。


自分でしたらいいのに。


そう思いながら、


一応インターホンを鳴らす。


このパターンで、


出てきたことは一度もない。


ちょっとは、来客に興味を持て。


なんて思いながら、


ドアを開けようとした時。







「どちら様ですか〜?」






なんて言いながら、


中から人が出てきた。


私と同じ制服を着た、


見かけたことがある女の子。






< 119 / 325 >

この作品をシェア

pagetop