そこには、君が
朝八時の学校の門は、
本当に人が多い。
みんなが登校する中を、
目を凝らしてよーく見渡す。
一際目立つ人だから、
見逃すはずもなく。
「来た、」
思わず、声が出る。
これほどこんなに、
会うことに緊張したことがない。
「大和!」
遠くにいる大和を呼ぶと、
ちらっと私を見ただけで
何も言葉を発さない。
「や…まっ、」
「大和く〜ん!おはよ!」
私の目の前で、
知らない女子が大和に絡む。
両側に可愛い女の子を纏いながら。
私に言った言葉は、一言。
「なに」だった。
「いや、あのね…」
昨日のキスは、
何だったの?
「別に。何もないよ」
言えるわけがない。
大和にとって昨日のことは、
何でもなかったことだと
言っているように見える。
私はその場を走って立ち去った。
こんなつもりじゃなかった。
普通に話したかった。
昨日のことを、
何もなかったようにして。
大和と笑いたかった。
それだけだったのに。