そこには、君が





インターホンに手を伸ばす。


そういえば今日学校で姿を見ていないかも。


きっと、ズル休み。






「あ、」





ガチャと重い音を鳴らし、


開いたそこにいたのは、


ずっと口を聞いていない大和。


お礼を言う事が目的ではあったが、


しばらく話していない大和に向かう


心構えをしていなかった私。







「あ、えっと…」






苺、ありがとう。


それが出てこない。


いつもなら、


何も考えなくても言葉が出るのに。


そうか、そうだ。


いつもはもっと、


温かい目をしていたから。







「何?」







目の前の大和は、


なんていうかその。


私を見る目がというか、


なんていうかその。








「イチ…」







冷たいという以前に。




全く私を映していなかった。








「大和、今日学校来てなかったでしょ」






第一、私が訪ねて、


玄関で話すことなんか一度もなかったし。







「ああ」







こんな相槌や一言で終わる会話なんか、


した事なんて、ないし。







「なあ、」







私の名を、


呼ばなかった事なんて、


一度もないのに。








「帰れ」








「…え、」








訳が分からなかった。



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