そこには、君が
「彼女出来たら、冷たくなるの?」
『何のことだよ』
「話してくれないし、目も見てくれないし。おまけに追い出したじゃん」
早口に大和への苛立ちをぶつけた。
言葉が次々と溢れ出てくる。
まるで彼氏に浮気されたみたいに。
あたかも私が被害者のように。
思うことをそのまま大和にぶつけた。
「変わったよ、大和」
『ふざけんな』
私の言葉を静かに聞いていた大和が。
最後の言葉に反応して、
間髪入れずに怒り口調で私を制した。
『変わったのはお前だろ』
「な、変わってなんか、」
ない。
変わったつもりはなかった。
話してくれないのは大和。
無視をするのも大和。
いつだって大和が怒っているから。
『俺を追い出したのはお前だ』
いや、違う。
大和が怒るのには、
いつだって理由がある。
子どもみたいに拗ねる時も、
怒り狂ってどうしようもない時も。
いつだって、私が原因だった。
『もう俺は用無いから』
そう言って大和は、
勝手に電話を切った。
私は無機質な機械音を、
ただ静かに聞いていた。
電話の向こうに大和がいないと、
分かったのは数分後経ってからだった。