そこには、君が
放課後になり、クラスメイトは
一斉に教室を出る。
と同時に凛の携帯が鳴り、
目を外にやると校門に2人の姿。
「今行きます」
そう言って電話を切ると、
来たらしいと教えてくれる。
教室から見る私の視線に凛が気付いたのか、
同じように外に目を向けていた。
「お待たせしました!」
凛は飛びつくように、
少し駆け足で春太さんの腕を掴む。
満面の笑みを浮かべる春太さんを見ると、
凛を想う気持ち手に取るように分かった。
「制服、可愛いね」
「そう?」
ポケットに手を入れ、
静かに私を褒める徹平は、
そっと手を取り出し私の髪を撫でた。
「ちょっと!イチャつくの禁止!」
「徹平、高校の前だぞ!」
なぜだか先にイチャついていた2人に、
怒られる私たち。
徹平も同じことを思ったのか、
私の目を見て同時に笑った。
「今日、本当楽しみだった!」
「お招きいただき、ありがとうございます」
久々に4人で集まれることも重なり、
私たちのテンションはおそらく
誰よりも高かった。
「どんな服、買う?」
「ん〜、でも春らしくいきたいなって」
そんな話をしていた時。
不意に、徹平の視線が私の後ろに向いた。
それに気付くのに、時間がかからなかった。
なぜなら背後からも、何かを感じたから。
「あそこも、誘う?」
え?と振り向いた時。
そこには大和と京也と、
あの時に見た大和の彼女らしき
女の人が、そこにいた。
「明香の、幼馴染くん?」
「あ、」
空気が凍った。
徹平の意図が読めない。
だけど、なんか少し、意地悪だった。
いつもだったらそんなこと言わないのに。
どうしてか、今日は、
いつもじゃないことを言った。