そこには、君が










それからしばらく経ったある休日のこと。


寝ぼけ眼にテレビを見ていると、


お昼のワイドショーで聞き慣れた


名前が挙がった。






「売春斡旋…」






大学生の男4人が、


女性を騙し売春の幇助を


していたというニュースだった。


そしてその男たちが通う大学が、


徹平の通う大学だった。








「わっ…電話か、」







ニュースに見入っていると、


突然携帯の着信音が鳴った。


いつもはミュートにしているから、


たまの休日に音が鳴ると、


心臓に悪い。


画面に映し出された名前は、


思ってもみなかった、京也だった。







『ニュース、見た?』







開口1番にニュースの話題。


嫌な予感がした。







「見、たけど、それが何?」







『明香の彼氏、そこの大学だろ?』







「だと思う。何?どういう電話、これ」








走っているのか息を切らし、


慌てている様子の京也。


途切れ途切れで上手く聞き取れず、


内容が内容なだけに苛立ちを隠せない。








『その彼氏と、今すぐ別れた方がいい』







「…何、で、そうなるの…」







きっと、そう言うために、


電話をかけてきたんだろうなと。


最初から分かっていた。








『関係してるかもしれないだろ、その男も!』







「そんな訳ないじゃん!大学なんて、何百人いるんだよ!ニュースじゃ、4人だって…」







『とりあえず今すぐ行くから、待っ…』







「いい。来ないで。絶対来ないで!」







私は京也が話している途中で会話を切り、


電話の向こうにいる京也を無視して、


電話を切った。


無機質な音が鳴り響く。


そしてもうテレビは違うニュースを流していた。














「ごめん、急に家に行きたいなんて」






「ううん、全然だよ」






今日は元々水族館に行く予定だった。


だけど急遽の変更で、


私の家で過ごすことになった。


体調が悪いらしく、人混みは避けたいとのことで、


私はそれを快諾した。


別によかった。


徹平といれるならどこだって。


そう思うのに、


何でよりによって今日なんだと、


思って仕方ない。


だってあのニュースが、


頭から離れないから。





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