そこには、君が
「凛ちゃんたち、ごめんね。今日、見回りの日でさ」
「見回り?」
「警察が補導に来る日。抜き打ちの時もあるけど、基本的に来る日もあって」
補導しに、わざわざ
警察が来るんだ。
警察も暇なんだな。
「2人とも、迎えとか呼べる?」
「私、お勉強って言ってあるから呼べない…」
凛は困った顔で、
私の顔を見る。
凛の家は結構厳しくて、
夜の門限もあったりする。
「あ、私、凛のこと送ってから帰るんで、大丈夫です」
「そしたら、君が1人になるでしょ」
「春、お前もう上がるだろ。河村さんだっけ。送ってってやれよ」
まさかの、片割れさんのパスに、
顔を赤らめる凛。
なるほど、その手があったか。
「でもそしたら…」
「この子は、俺終わってから送ってくし」
知らない人に、送ってもらう。
本当だったらすごい嫌だけど。
今日だけ、いいか。
「凛…そうしてもらおっか」
「え、いいの?」
いいの、だなんて。
嬉しいくせに。
「じゃ、俺フロア戻るし。あと1時間だから待ってて」
片割れさんは、
柴崎さんに何か言うと、
振り返ることなく出て行った。
「俺、着替えてくるから。待ってて、凛ちゃん」
柴崎さんは、
奥の更衣室へと入って行った。
「明香…やばい、どうしよう」
「これはチャンスだと思いますよ、凛さん」
少しからかうように、
肩で肩を突いてみた。
凛は慌てふためいて、
乙女の顔を見せていた。
「連絡先、聞いておいでよ」
「えっ、そんな…出来ないよ」
消極的な凛を説得しているうちに。
お待たせ、と奥から戻ってくる柴崎さん。