そこには、君が
『はっきり言われて、良かった』
最初の強い意志が、
また見えた気がした。
こうなることは予想していただろうに、
最後に私に言わせてくれたんだろうか。
『俺はこの後ちゃんと警察に行く。それは信じて』
「信じてる。ちゃんと罪を償えることも、分かってるから」
徹平が後悔しているのはちゃんと伝わったし、
きっとこの先も罪を忘れることなく、
また守りたい誰かが出来た時に、
正しい方法で守ることが出来る。
彼の全てを理解した上で、
彼自身を愛してくれる人が必ず現れる。
私はそう思った。
『じゃあ、電話切るね?』
「あ、待って…!」
急いで言葉を発する。
ちゃんと最後は終わりたい。
「好きになってくれてありがとう。私に優しくしてくれて、ありがとう」
数えきれないほどの、ありがとうが、
次々に湧いてくる。
「大好きだった。本当に、好きだったから!」
徹平が、これからいっぱい、
いい人に出会えますように。
徹平が、これからどんなことも、
乗り越えていけますように。
「…ばいばい、」
私の最後の一言で、電話は切れた。
無機質な機械音だけが響いている。
通話の終了の合図だ。
終わってしまった。
「ふぅ…」
ため息を1つ。
こぼした時に、鳴ったメールの受信音。
送信者は、さっきまで電話していた、
徹平だ。
手紙のような、
最後のメッセージだった。