そこには、君が





「ん…、痛たた…」





体を起こそうとすると、


頭痛と関節の痛みが体に走った。


まだ熱があるようだったけど、


さっきよりは少し気怠さが緩和された感じがする。


重い体を起こそうとした時。


布団が思うように捲れなくて、


右側に重みがある。


ふとそこに目をやると。








「ん…っ、」







大和が寝ていた。


床に腰を下ろして、


腕を捲っている。


そういえばと額に違和感を感じ手を当てると、


そこには解熱シートが貼られていた。


私の家には、何もなかったから、


きっとこれは大和が用意してくれたものだ。








「…起きたのか、」







「大和…」







体を起こした大和は思い切り背伸びすると、


私の額に手を伸ばし、熱を測る仕草を見せた。








「熱は下がったみたいだな」







「そんなので分かるの?」








人の看病なんてしたことないでしょ、と


大笑いした。


寝てろ、と大和は私の体をゆっくり倒し、


優しく布団をかけてくれる。


こんな大和、いつぶりだろう。







「何か食うか?」







「うーん、お腹空いてない」







「でもなんか食えよ。栄養取らないと」







気付けば大和はゼリーやヨーグルトなど、


消化に良い食べ物をたくさん持っていた。


解熱シートといい、食べ物といい、


私のためにこんなことをしている大和が、


なんだか頼もしい。


だから、なんか。







「じゃあ雑炊とかが良い」






「は?んなもん、作れねーだろ」







意地悪言いたくなった。


困らせたくなった。









「じゃあうどん。じゃないと食べない」







困っている顔をしている大和。


私の腹の中で、爆笑。


かわいそうになってきて、


嘘だと言おうとした時。


わかったと、大和は家を出て行った。


待ってと引き留めたが、


今の私に大きい声など出すことは出来ず、


玄関へ向かう大和を見送るしか出来なかった。







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