そこには、君が
不自然かな、って。
気付いた時には遅かった。
「お前さ、」
大和はこういう小さい変化に敏感だ。
私たちはいつも近くにいて、
寄り添って寝るし、
もたれかかって座るし、
そんなこといつものことだった。
「最近おかしくね?」
大和がそんなこと思うのなんて、
当然のことだった。
「は?何、おかしくないけど」
おかしいよね。
分かってるんです、私だって。
だけど耐えられないんだもん。
変な感じになっちゃうんだもん。
「何でそんな態度?」
「だ、だから何が?至って普通でしょ」
開口一番の声が籠る。
スラスラと言葉が出ない。
緊張にも似た感覚が私を包む。
自分がおかしいことなんて、
ちゃんと理解してる。
「なんで避けんだよ」
「だから、避けてないでしょって」
もうこの場にいられなかった。
私はそそくさと立ち上がり、
部屋の出口へと向かう。
「明日の準備、しないとだから帰るね」
「待てって、おい…!」
バタン。
私は大和の声を聞き入れず、
言い終わりも聞かないまま、
部屋を出た。
急いで家に帰る。
足音なのか、心臓の音なのか分からないくらい、
うるさい。
「やばいって…」
準備はちゃんと終わっている。
だけど明日からの修学旅行を目の前に、
大和とは不穏な空気となってしまった。