そこには、君が
「すっごい綺麗!」
「うん、豪華ってのが伝わるね」
北海道へ到着して、昼間の行程は終わり。
16時頃、宿泊先のホテルに到着。
今日は和室に6人部屋。
もちろん凛とは同じ部屋。
「夕飯まで結構時間あるよね?」
「予定通りだとそうみたいだね」
予定より少し早い到着となり、
自由時間が1時間ほど増えた。
夕食は18時から。
今何時だろう。
そう思って携帯を取り出した時。
本当にタイミング良く、電話がかかってきた。
「何でしょうか」
『出てこい、外』
「っ、ちょっ…と、」
本当に大和は、いつもそうだ。
特に不機嫌な時は、いつも、
言いたいことだけ言って勝手に切る。
「ごめん、ちょっと出てくる」
凛に向かって口パクで、
大和と言うと何かを察したのか、
あ〜と言いたげな顔で、
大きく頷いてくれた。
「どこにいんのよ…」
出てこいと言っておいて、
外にいるのかと思えばいない。
泊まる部屋は、
エレベーターから続く廊下の端。
長く続く廊下の先に目をやると、
エレベーター付近に誰かが立っている。
遠くからでも見て分かる大きさに、
私は諦め半分で向かった。
「暇なの?」
「あ?」
適当に言葉を投げかけただけなのに、
それが面白くないのか、
あからさまに苛立っている返答。
私は訳が分からず、
とりあえず黙ることにした。
「お前さ、」
「何」
「あいつらと仲良いの?」
あいつら、と言われて、
誰のことを言っているのか
頭の中の記憶を辿る。
きっとバスの中で隣に座った男子のこと
だろうと思い、首を横に振った。