そこには、君が







「明日、話せるかな?」







「でも話しかける勇気ないよね…」







モジモジし出す女子たち。


私は何の気無しに、


軽い言葉を放った。








「明日話してみる?楽勝だよ、あの人たち」







大和にも腹立つし。


京也だって嬉しいはずだ。


まあ急にそんなこと言われても、


賛成…






「いいの!?」






「話してみたい!」








するんだ。


簡単に口にした言葉に、


少し後悔したがもう遅い。








「じゃあ…明日の昼食の時とかにでも、ね」







「「「うん!!!!」」」







決まってしまったことに、


どうにかできるわけでもないけれど、


できることなら5分前に戻りたい。


気まずくなった大和に、


どう話しかけるか考えるだけで


面倒なものだ。


だけど約束したからには、


守らないわけにもいかないし。


自分で自分の首を絞めた私だった。







2日目。






「おはよう明香、凛ちゃん!」






朝の朝食はバイキング。


私たちは最後尾に並び、お盆とお皿を何種類か


取り、まだ少し眠い目を擦っていた。


そこへ現れたのは、いつでもどこでも爽やかな京也。








「大和は?」






「明香様、起こしてきてください」








はい?


話が理解出来ない私。


なんで私が起こしに行かなきゃなんないのよ。








「え、やだ」







「嫌とか言わないでさ。手に負えないんだよ」







京也の優しさでも何ともならないってことは、


相当夜更かししたとか、そんなことだろう。


睡眠命の大和のことだから、


朝食よりも寝ることを選んだんだな。


全く。


私は京也に、自分の分の朝食を取ってもらうよう頼み、


大和が寝ている部屋へと向かった。


向かいながら、先生がいたらどうしようとか、


そんなことを考えていたけれど、


流石の先生たちもお腹が空いているのか、


全教員が朝食を食べに向かっているようだ。


誰1人として通路にも部屋の前にも立っていない。


これはもう、入るために運命付けられているような、


そんな感じがした。






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