そこには、君が
コンコンコン。
一応ノックしてはみるが、
誰も出てくるはずがない。
私は京也から預かったカードキーでドアを開け、
中へと無事侵入することができた。
「大和…?入るよ?」
奥に向かって声をかけるが、
返事なし。
私は恐る恐る進んでいくことに。
女子とは違う部屋の作りで、
洋室にベッドが4つある部屋だ。
その奥のベッドに、奴がいる。
明らかに人がいる形で布団が膨らんでいた。
「あの、起きてもらえませんか」
昨日の苛立ちはまだ収まりを知らない。
私は大和に近付くと、乱暴にベッドを揺らし、
地震?!と思わせるくらい軋ませた。
「ん…なん、で…お前がいんの」
「あんたのせいで、起こしに来させられたんじゃない」
はあ、と溜め息をついてみせると、
大和は眠そうに欠伸をした。
呑気な行動にまたイライラして、
私はベッドを揺らす。
「私だってお腹空いてんの。バイキング楽しみにしてるのに!」
「わーった。分かったから、揺らすな…」
全ての苛立ちをそこで吐き出す。
このばか大和め、と。
憎しみを込めて揺らしていたその時。
ピッ…ガチャ…
ドアが開く音が聞こえた。
だってこの部屋は私が持っているし、
部屋の誰かな訳ない。
「え、誰…」
「明香、入れ」
「え、でも…」
きっとこの状況からして、
大和がいないことに気付いた先生が、
起こしに来たに違いない。
男子の部屋にいることなんて知られたら、
残りの日程が全て終わる。
私はやむを得ず、大和の手を取った。
力強く引っ張られるまま、布団に潜り込む。
大和の足元からお腹あたりで小さく丸まり、
私は身を隠すことにした。