そこには、君が
「私たち、永森くんのこと誤解してたなって…」
「本当に申し訳ないなって、謝りたくって…」
私に謝っても意味ないのに、
ずっと止むことなく私に頭を下げる。
大和は、私のせいで、喧嘩になったんだ。
「あ、ちょっとごめん…」
その時電話が鳴り、
女子たちに断りを入れて耳に当てる。
着信の相手は凛だ。
「もしもし、終わった?」
『終わったよ。いま部屋に向かってるんだけど、どこにいる?』
「部屋の階にいるよ」
そう言うとエレベーターが到着する音がして、
中から凛が出てきた。それも、
めちゃくちゃに走っている。
「本当腹立つんだけど!!!」
「どうしたの…?」
凛は着くなり、めちゃくちゃ
キレた顔で私を見ている。
「一緒に話を聞かせろって呼ばれた人たち、好き勝手なこと言ってさ!」
先生たちに呼ばれた時の話を
細かく教えてくれる。
「永森くんのこと、知りもしないくせに、勝手に怒って殴ってきたとか、1人で怒っていたとか!そんなわけないじゃん!」
勢い良く言ったその言葉に、
一緒にいた女子たちが揃って、
泣きそうな顔をする。
さっきの自分たちの言葉に
リンクしたのか、
また謝る動作を見せた。
「あの人は怒ってるんじゃなくて、守る人でしょ!意味のない喧嘩なんてしないって、明香も言ってたじゃん!!」
そうなの。
大和はああ見えて芯がある。
弱い者は傷つけないし、
意味のないことはしない。
今回だって。
「私、大和に会って来ないと…」
「うん!そう言うと思って、津田くんに部屋番号聞いといた!」
506号室。
私は凛や女子たちに礼を言うと、
涙を浮かべる女子たちを凛に託し、
私はエレベーターへと駆けた。