そこには、君が





「中に何が…」






「だから見ろって」







これ以上聞くと、


怒られる気がして口を窄めた。


大和が私にくれたもの。


想像の範囲を超えていた。








「ネック、レス…」







キラキラしているシルバーアクセサリー。


星のチャームがピンクゴールド。


ネットで大評判で売り切れ間違いなし。


なんで知ってるかって。


それは私がずっと欲しい物で、


凛にうるさいほど言っていた物だから。


絶対安くないんだよ。


だってずっと手が出せなくて、


眺め続けた物だもの。


驚きを隠せない。







「可愛すぎるんだけど。どうしたの、これ」







「一言目が、どうしたのかよ」






貸せ、と。


大和はネックレスを手に取ると、


私の首元に腕を回し、


正面から付けてくれた。


不器用さが物語り、


上手く出来ないと嘆きながらも、


何とかはめてくれた。


私の首元に、星が輝いている。








「ありがとう大和…」







心の底から出たお礼の言葉。


飾る言葉も見当たらない。


いつもの冗談も、今日は出てこない。


嬉しさで、満たされている。








「夜中、バイトした」






「え!そうだったの?」






そう言いながら私の首元にある星に触れる。


チャームが熱を持ったみたいだ。







「とりあえず上がって。何か飲み物出すよ」






「いや、そうじゃなくて」






いつもなら遠慮なしに上がるくせに、


今日はその場で動かず下を向いている。


様子が変な大和を見つめると、


突然ドアノブに手をやり。








「着いて来て」






そう言ってドアを開けた。


靴を履けと言う。


こんな夜中に、どこへ行こうと言うのか。








「どこ行くの?」






「ちょっとそこまで」







いいから、着いて来いと。


私を導きながら、


マンションのエレベーターへ向かい。


下へ降りるボタンを、押した。





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