そこには、君が
「何でもっと早く言わなかったの」
「自分の中でも、固まってなくて。ごめん」
そう言うと、凛は、
謝んなよって言いながら、
携帯を取り出した。
「2人で行きたいって、言っとくね」
「うん、楽しんできてね」
凛が幸せそうな顔をしているから、
私もすごく幸せな気分になった。
おかげでいい昼休みを過ごせたから。
「今日、凛の家行きたいな」
「来る?お母さんも喜ぶよ」
「ママに結構会ってないよね」
なんて話しながら廊下に向かう。
2人の世界に入り込んでて、
廊下が騒がしいなんて気が付かなかった。
「本当行っていいっ…」
「行かせませんけど?」
廊下と教室の狭間で。
いつの間にか京也の腕によって、
捕まえられていた。
「京也…、」
「凛ちゃんも。お話、聞かせてね」
「……はい」
有無を言わせず、
2人の視線にやられ、
私と凛は黙ったまま京也に
手を引かれた。
「はい、じゃあどうぞ」
4人で行きつけのファミレスで、
着くなり早速尋問が始まった。
店員さんが注文を聞きに来ると、
大和が一言で断り、
益々重苦しい空気になる。
「先週、2人でご飯に行ったの。私が誘ったんだけど」
危険を察しつつ、
私をフォローするように、
凛が話し始めた。
「あるお店の店員さんを、私が好きになっちゃってね。事情があって、高校生ってバレちゃって。私はその好きな店員さんに送ってもらったんだけど!明香はそこの女の人に送ってもらってて!ね、明香!」
息をつくこともなく、
言いたいことをぶわぁっと
話す凛に圧倒される私。
しかも、普通に嘘言っちゃったし。