そこには、君が





「何でもっと早く言わなかったの」





「自分の中でも、固まってなくて。ごめん」





そう言うと、凛は、


謝んなよって言いながら、


携帯を取り出した。






「2人で行きたいって、言っとくね」





「うん、楽しんできてね」





凛が幸せそうな顔をしているから、


私もすごく幸せな気分になった。


おかげでいい昼休みを過ごせたから。







「今日、凛の家行きたいな」




「来る?お母さんも喜ぶよ」




「ママに結構会ってないよね」





なんて話しながら廊下に向かう。


2人の世界に入り込んでて、


廊下が騒がしいなんて気が付かなかった。






「本当行っていいっ…」





「行かせませんけど?」





廊下と教室の狭間で。


いつの間にか京也の腕によって、


捕まえられていた。





「京也…、」





「凛ちゃんも。お話、聞かせてね」





「……はい」






有無を言わせず、


2人の視線にやられ、


私と凛は黙ったまま京也に


手を引かれた。






「はい、じゃあどうぞ」





4人で行きつけのファミレスで、


着くなり早速尋問が始まった。


店員さんが注文を聞きに来ると、


大和が一言で断り、


益々重苦しい空気になる。






「先週、2人でご飯に行ったの。私が誘ったんだけど」





危険を察しつつ、


私をフォローするように、


凛が話し始めた。






「あるお店の店員さんを、私が好きになっちゃってね。事情があって、高校生ってバレちゃって。私はその好きな店員さんに送ってもらったんだけど!明香はそこの女の人に送ってもらってて!ね、明香!」






息をつくこともなく、


言いたいことをぶわぁっと


話す凛に圧倒される私。


しかも、普通に嘘言っちゃったし。






< 22 / 325 >

この作品をシェア

pagetop