そこには、君が





「好きだ」





耳元で囁く大和の声が、


体全体に染みていく。


甘すぎる。


最近大和に感じていた感情が表に出る。


手を繋いだり、寄り添ったりなんて、


今に始まったことじゃないのに。


今まで今日が1番ドキドキしている。


幼馴染だった関係が、


急展開すぎる。







「私も、好き」






大和の肩越しに空が見える。


満点の星空に包み込まれているみたいだ。


綺麗なものを見ていたら、


素直に思いが口から出ていた。


大和に好きだなんて、


言う日が来るとは思ってもみなかった。







「帰ろう」






「うん」







まだ照れくさい。


自然と伸びてくる手に絡める私の手は、


ほんのり熱を帯びている。








「あーだりぃ」







「何が?」






「浮つく自分が気持ち悪い」






「浮ついてんだ」








いつも通りの会話も、


語尾にハートが付いている感じだ。


確かに気持ち悪い。


というか、痒い。








「大和」






「ん?」






「ありがとうね」







「ああ」








最高の誕生日になった。


私たちはそのまま私の家に帰ると、


お互い何も言わずただ抱きしめ合って眠った。


キス1つしなかったけれど、それでも良かった。


私のためにプレゼントを買い、


誕生日に告白をしようと考えてくれていた。


不器用な男が、私をずっと好きでいてくれた。


それが何より嬉しかった。


急に恋人だなんて、彼氏だなんて、


受け入れられないと思っていたけど、


案外すんなりと彼女になれた。


大和がなんか格好良いし、


好きだという感情が穴という穴から溢れてくる。







「大和、もっかい言って」






「何を」






「さっき言った、好きって」







少し揶揄ってみたくて、


ベッドで横になりながら目を瞑る


大和に言ってみた。


ばかとか言ってはぐらかされると思ったら。








「何度でも言ってやる」






そう言って私を更に引き寄せ、


好きだと言った。


ばかとか、飯作れとか、


そんなことしか言えないと思っていた


私の幼馴染は。








「無理もういい」







一夜で激甘な私の彼氏に、なった。







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