そこには、君が
「直接聞きたかったと思うよ。特に大和くん、彼氏だもん」
「うん…そう、だよね、」
彼氏という言葉に胸を打たれる。
もう幼馴染じゃない。
大和は私の彼氏だ。
「今回ばかりは大和くんに同情だな」
「本当、私が悪い…」
そこへ凛の携帯が鳴り、
ちょっとごめんと電話に出る。
出る前に見せてくれた画面には、
京也の名前。
「今からこっちに来るらしいよ」
「京也にも、言わなきゃだな…」
気が重い。
きっと京也も怒るだろうな。
「そういえばね、私別れてからたまに津田くんと遊んだりするんだよ」
「え!そうなの!?」
顔が緩む。
この前話していたことを凛は知らないから、
何も言えないのだけれど。
遊んでいるとは知らなかったから、
思わぬ朗報だ。
「明香が大和くんと帰ったりする時、たまに声かけてくれるの!」
「知らなかった。でも進展してるんだ」
「進展?」
「あ、いや何でもない」
思わず言葉にしてしまった。
でも明らかに進展している。
2人がより仲良くなっているようだ。
「もう着く頃なんじゃないかな?」
「勝手に入ってくるよ、多分」
玄関の鍵は開けっぱなし。
きっと京也が着いたら。
「明香ー?入るよー?」
ほら、勝手に入ってきた。
そう思いながらも、
近づく足音にドキドキする。
きっと、顔が。
「明香。話すことあるよね?」
「あ、はい…あります、です」
ほら、怒っている。
私は正座をし、
ひたすら謝りながら伝えた。
京也は怒りながらも全部を聞くと、
思い切り私に手を伸ばし。
「痛っ…」
「黙ってた罰です」
デコピンを思い切り念をこめてやられた。
京也の優しい、私への罰。