そこには、君が






「お前の全部が好きに決まってるだろうが」





「全部っ…ってね、え…んっ、」







大和は私が抵抗しないのを良いことに、


前に回した片手で私の手を掴み、


もう片方の手を膨らみに伸ばす。


まだ直接は触れていないが、


間にあるのは濡れたタオルが


1枚あるだけ。







「大和…っ、待って、」






「散々待った。お前が悪い」







そう言った後、大和は。


私の耳にキスをして。







「好きだ」







そっと私を自分の方に向け、


ゆっくり近付く。







「お前を絶対離さない」






「…私も、好き、」






大和は私の頬や額に纏わりついている髪を、


ゆっくり指で掻き分け。


静かに、怖いか?と聞いた。






「怖い…」






「今なら止められる」






どうする?って。


聞いてくるものだから。


もう何も考えられなくなって。


私の胸の高鳴りを、


自制することは不可能だった。







「やだ…、」






「ん?」






「止め、ないで…」







怖さよりも、愛しさが勝った。


私の全てを、大和にあげたかった。


全部で、繋がりたかった。


心も、体も。







「好きだ、」





「んっ…、んん、」






大和は好きだと言ったのを皮切りに、


私にキスをした。


今までで一番優しく顔を包み、


持ち上げるようにして、


キスをした。


今までキスなんて、


大したものじゃないって。


そう思ってたのに。






「や、ま…と、好き、」






「明香、可愛い」






こんなに気持ちの良いものなんて、


知らなかった。


私の気持ち良い部分を、


上手に刺激してくる大和に嫉妬した。








「のぼせ、ちゃう…、」





温まった体はもちろん、


大和に触れられているせいで、


ぼーっとする。







「上がろう」





大和はそう言って私を、


子どものように抱えると、


そのまま脱衣場まで行き、


乾いたタオルで少しずつ拭いてくれる。






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