そこには、君が
「あっ、ん…大和、奥がっ…んぁ、」
「明香っ…くっ、」
大和の気持ち良さそうな顔が見えて、
訳の分からない涙が出た。
鼻の奥が、もう痛い。
愛しい。
それだけで満たされている。
こんなに好きなんだ。
大好きなんだ。
「好きっ…大好き、」
今伝えたくて出た言葉を受け止めているのか、
大和はうんと言いながら動き続ける。
そして、大和と同じ瞬間に、
私も絶頂に達した。
苦しそうに溢す大和の声が、
何とも愛しくて仕方なかった。
それから覚えているのは、
横に寝転んだ大和が、
いっぱいキスをしてくれたこと。
そして大きな腕の中で抱きしめてくれたこと。
気付いたら眠りについていて、
起きたのはそれから2時間後のことだった。
「んんっ…!寝ちゃった…!」
急いで体を起こそうと力を入れるが、
なんか体に違和感を感じて重い。
「寝顔緩いな相変わらず」
そんな声が後ろから聞こえてきて、
どこにいるのか思えば、
私の横に寝転んでいたようだ。
なんだ、と私も体を倒し、
大和の横に寝転がる。
「体、大丈夫か?」
「うん、全然余裕です」
強がって見せたが大和にはバレていて、
ばかじゃねえのなんて悪態をつかれる。
その点、大和は余裕そうだなって、
思っていると、さっきの嫉妬が蘇る。
「今まで、何とも思わなかったのにさ」
「ん?」
「大和が違う人抱いてたんだなって思うと、おかしく、なりそうです」
口にするつもりはなかったものの、
言い出したら止まらなくなって、
全部言ってしまった。
こっちは嫌味で言っているのに、
効いていないのか大和は急に笑い出し、
心臓を抑え始めた。
「何、笑って…っ、」
「お前といると心臓持たねえわ」
くくくっ…と笑いながら、
私の髪を乱暴に撫でると、
大丈夫と言った。
「お前がどう思おうと勝手だけど、初めて幸せって知った」
「…私として、幸せだったの?」
「もう一回抱きたいなんて、思ってるくらい」
大和の初めてが、
1つでも残っていた。
私はそれだけでもう満足だ。
「ちなみにしたの、お前だけ」
「えっ、本当?」
「本当。疑うなら好きにどうぞ」
疑うも何も。
そんなの急に言われても、
信じられない。
「もう、他の人とは…」
「するわけねえだろ。ばかなこと言ってると、もっかい壊すぞ?」
そう言って意地悪な目をした大和は、
私の被っている布団を取ろうとしてくる。
このやり取りですら、甘い。
もう居心地の良さに酔いしれて、
このまま時間が止まればいいのにって、
そう思ってしまったくらいだ。