そこには、君が
「寝坊かな…」
いつもと違うことに、
違和感を感じながら下に降りる。
そこには京也がいて。
「おはよう」
少し気まずさを残して、朝の挨拶。
京也は優しい顔で私を迎えてくれる。
「大和、遅いね」
「今日は風邪引いたから休むみたい」
京也から聞かされたそれに、
私は一瞬固まった。
今まで大和が休む時、
私にも絶対電話があったのに。
「行こう」
「うん」
やっぱり、いつもいる人がいないのは、
寂しい他ないなと思う。
京也は優しいから、
私を気遣って色んな話をしてくれる。
だけどそれでも、私の違和感は
拭えなくて。
きっとでも、京也も同じだと思う。
「つまんないって、顔しないでよ」
「つまんなくなんかっ…」
「分かってる。素直に寂しいって言えばいいのに」
「…うるさいな、もう」
それから3日しても、
大和から全く連絡がないまま日が経った。
電話しようと片手に携帯を取るも、
今さらかってタイミングを逃した気がして、
なかなか出来ずにいて。
「準備よし」
マグカップのお湯とミルクを少し。
ホットココアを自分で作ると、
両手で持って窓際へ。
部屋の明かりを消し、
テレビも消した。
私以外の誰もいないこの部屋で、
私はホットココアを飲みながら
耳を澄ました。
それから数分経ち、
心地良い音が届いた。