そこには、君が
「せっかくなら最後まで見てけよ」
挑発をする大和の勢いが止まらない。
黒田くんはやっと立ち上がり、
赤らめた頬を右手で押さえている。
「言っとくがお前の周りにいた女、触れたことも興味持ったこともねえ」
「大和…」
大和の口からその言葉を聞けると
思っていなかったから。
たったそれだけの言葉なのに、
心底安心させられる。
「俺はもう明香しか興味ないし、女とかお前とかどうでもいいんだわ」
いつの間にか人が集まり、
注目の的になっている。
「女1人捕まえておけねえ自分のことを、少しは見つめ直した方がいいんじゃねえの?」
「永森っ…、」
「俺に何しようが相手してやるけど、」
大和は黒田くんの近付くと、
静かに胸ぐらを掴み。
「明香に手出したら、次は殺す」
静かに淡々とそう言った大和は、
黒田くんから手を離すと、
行くぞと私の肩を抱いた。
背中には、
悔しそうに叫ぶ黒田くんの声が聞こえる。
私は一切振り向かなかった。
「おいばか女」
「…はい」
「俺のこと、まだ疑ってんのか」
きっと、女の人との関係の話、
してるんだろうなって。
「あ、いや…」
「まあいいけど」
大観衆がいる中庭。
大和というばか男は。
「んっ…んん、」
急に立ち止まると、
私に深いキスをする。
しかもみんなに見えるように。
「俺はお前にしか興味ねえし、お前しか抱かねえ。また疑うか?」
「…今、信じました、」
「よーし。それでいい」
ああ、もう。
大和って男に惚れた私の負けだ。
こんなことされたら、
不安なんて吹っ飛ぶし、
怖いものなんてない。
「ありがと、大和」
「一生離れんな」
離すつもりねえけど。
そんな不器用な愛情に酔いしれる。
色んなこともあったけど、
おかげで私は大和を信じることが出来た。