そこには、君が

よん






「くれぐれも怪我のないように、大いに楽しんでください!」





パチパチパチと拍手が鳴り響く。


11月とはいえ、まだ日差しが暑い時期。


灼熱のグラウンドで、生徒会長が開会の宣言をした。


今日から2日間、大イベントである、


学校祭が開かれる。


1日目は体育祭。


各学年、各クラスで色別に分かれ、


リレーや玉入れなど定番の種目に


出場する。


私たちは赤組で、


頭には配布された鉢巻を巻いている。


2日目は文化祭。


各クラスが色々なテーマでお店を展開し、


売り上げを競うというもの。


各部活でもステージで踊ったり、


出店を出したりと、割と自由なイベントだ。






「校長先生、話長いよ〜」





「暑すぎ」






開会式が終わった直後、


テントの中で暑さにやられた生徒たちは、


もう既にぐったりとしている様子。






「明香、二人三脚って何番目だっけ?」





「確か、4番目とかじゃないかな」






プログラムを見ながら伝えると、


凛はトイレに行くと言い走って行った。






「大和、何出るんだっけ?」





「知らね」






そんなことを言う大和を、


クラスの男子たちが一斉に視線を向ける。


そして。







「大和、まだ怒ってんのかよ〜、、」





「勝手に選んで悪かったけど、大和に勝てる奴いないんだって…」






状況が分からず、黙って見ていると、


どうにも出来ないと思った男子が、


私に助けを求めてくる。







「棚橋さんからも、何とか言ってもらえない?」





「なっ、何を?」






実は、と。


恐る恐る口を開く男子たち。


話を聞いてみると、


それはそれは光栄な話だった。







「嫌だって言うの?」





「言ってます…。助けてください…。」





大和はこう見えて、


運動神経が群を抜いて高い。


別に普段トレーニングをしている訳では


ないのだけれど、


小さい頃からリレーの選手だった。


聞けばお父さんも足が速かったみたいで、


遺伝なのかもしれない。







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