そこには、君が
「大和!」
最後に渾身の一声をかける。
ゴールまであと30メートルの時点で。
大和は、1位の人を、抜いた。
「よっしゃああああああ!」
男子は大盛り上がりでテントから出ていく。
囲まれた大和は、皆んなに頭を撫でられ、
肩を叩かれ、揉みくちゃ状態。
「私たちも行こう!」
凛に誘われ、輪に近付く。
中心にいた大和は皆んなに囲まれて、
嬉しそうに笑っている。
そしてしばらくすると私に気付き、
盛り上がっている皆んなを横目に
こちらへ歩いて来た。
「有言実行」
た、確かに。
何も文句は言えず、
少し悔しさもありながら
大和を見つめる。
「手縛り拘束変態プレイにプラスで裸エプロン楽しみにしてるわ」
調子に乗った男はそう言ってテントへ向かう。
もう本当にこういう所があると分かっていて、
それでも惹かれてしまった私に呆れる。
「大和!」
だけど、今日くらい。
「かっこよかった!」
賞賛してあげようかな。
「一生見とけ」
自信満々なこの一言に、
私は撃ち抜かれてしまった。
男子たちは戻っていく大和を追うように、
全員テントに戻っていく。
「大和くん、すっごいね」
「この力がもっと別の所に働けばいいのにね」
なんて悪態吐きながら、
私たちも男子の後に続いた。
全ての競技が終わり、閉会式。
最後のリレーが高得点なこともあり、
赤組はなんと優勝を収めた。
我がクラスでのMVPは断然大和。
みんなから称賛の声を浴びた大和は、
帰る頃には眠そうな目を擦っていて、
私の家に入った瞬間、
ぐっすり眠りについたのだった。